イタリアフィレンツェに留学中に制作したブレスレットです。カチッと閉まる開閉式の金具に至るまで全て手作りで制作しています。
私が通っていたフィレンツェの彫金学校には、私が敬愛して止まない洋彫りのマエストロがいました。
フィレンツェのその学校へ留学を決めたのも、そのマエストロから洋彫りを習いたかったから。
このブレスレットは、そのマエストロのレッスンで指導を受けながら制作した作品です。
日本から持ち込んだアイディアの一つである仏教の模様。私は寺院や仏閣などを訪れるのが昔から好きでした。
ある時、タイの仏教装飾のデザイン集を見つけてその流れるような曲線と凛とした空気感を感じるデザインを見て、この模様をフィレンツェ彫りの技術で彫ってみたいと思うようになりました。
正面の彫刻はモチーフがアジアなので、まるで和彫りの様な印象です。
側面の淵の部分は、Scavare(深彫り)をしており、フィレンツェ彫りのモチーフであるアカンサスの模様を彫刻しています。深彫りは何度もタガネを入れて地金を彫り崩すように彫刻していくので、淵の部分の彫りに大変時間がかかりました。
淵に厚みを持たせていることで、大変重厚感のあるブレスレットに仕上がりました。
最後に彫った線を黒く燻すことで、アンティークのように永く使い込まれたブレスレットのような仕上がりになりました。